「ローカルLLM」って何? まずそこから整理しましょう

AIというと、ChatGPTのようにインターネット越しに使うものをイメージする人が多いと思います。でも最近は「ローカルLLM」と呼ばれる、自分のパソコンやスマートフォンの中だけで動くAIモデルも広まってきているんです。

LLM(Large Language Model=大規模言語モデルのことです)は、もともとものすごく大きなコンピューターで動かすものでした。でも技術の進歩によって、家庭用のパソコンでも動く「小さいけれど賢い」モデルが登場してきました。これがローカルLLMです。クラウド(インターネット上のサーバーのことです)を使わないので、プライバシーが守られやすく、オフラインでも使えるという利点があります。

冷蔵庫の中身をAIに聞くと答えてくれる、そんなイメージで言うと、ローカルLLMは「冷蔵庫の中に直接AIが住んでいる」ような状態です。外のサービスに頼らず、手元だけで完結するわけですね。

何が起きたの? AIが「自分でゲームを作って自分で遊んだ」

今回話題になったのは、Redditというソーシャルメディアの「LocalLLaMA」というコミュニティへの投稿です。ユーザーの/u/DominusIniquitatisさんが、小さなローカルLLMが自分でゲームを作り、そのゲームを自分でプレイしている様子を共有しました(Source)。

投稿のタイトルは「別に大したことじゃないけど、小さなローカル言語モデルが自分で書いたゲームを遊んでいるだけ」というものでした。この「別に大したことじゃない」という控えめな言い方が、AIコミュニティの人たちの心をつかんだようです。

特に面白いのは、スコアが5になるとフィールド(ゲームの盤面のことです)の形が変わるというギミックが組み込まれていた点です。投稿者によると、AIはスコア10にもわりと早く到達したとのこと。つまり、AIが自分で設計したルールの変化にも対応しながらゲームを進めたということになります。

これって、よく考えるとすごいことなんです。「ゲームを作る」という創造的な作業と、「ゲームをプレイする」という問題解決の作業を、ひとつの小さなAIがこなしているわけですから。

「どうせWikipediaの丸写しでしょ」という声と、それへの反論

投稿のコメント欄では、AIに懐疑的な意見も登場しました。「どうせWikipediaの記事を盗んで吐き出しているだけでしょ!」という声です。これはAIに対してよく向けられる批判で、「AIは本当に理解しているわけじゃなく、学習データを組み合わせているだけだ」という考え方に基づいています。

投稿者はこれに対して「そうだよ、その通り(笑)」と冗談めかして返しています。「/s」というのはインターネット上で「冗談ですよ」を意味するマークです。つまり、批判を正面から受け止めつつも、「でも実際にこれを見てよ」と動作の事実で語りかけているわけです。

ここで少し立ち止まって考えてみましょう。「AIは学習データの組み合わせに過ぎない」という批判は、ある意味で正しいです。でも同時に、人間だって過去に読んだ本や経験から学んで新しいものを作りますよね。どこまでが「本当の創造」でどこからが「組み合わせ」なのか、実はとても難しい問いなんです。

今回のローカルLLMの場合、「ゲームのルール」「スコアに応じた変化」「プレイ戦略」といった要素を組み合わせて、動くゲームとして出力しています。それが「すごい」かどうかは人それぞれの感じ方があると思いますが、少なくとも「動いた」という事実は残ります。

小さなAIでもここまでできる、という驚き

今回の話で私が一番注目したいのは、「小さな」モデルがこれをやってのけた、という点です。

AIの世界では、モデルが大きいほど賢い、というのが長らく常識でした。パラメータ数(AIの「頭の中の接続の数」のようなものです)が多いほど、複雑なことができると考えられてきたんです。GPT-4のような大型モデルは数千億個ものパラメータを持つと言われています。

でも最近は「スモールモデル」(小さいモデルのことです)の性能が急速に上がっています。蒸留(Distillation=大きなモデルの知識を小さなモデルに移す技術のことです)や量子化(Quantization=モデルのデータを圧縮して軽くする技術のことです)といった手法が進んで、家庭用パソコンで動く小さなモデルでも、かなり複雑なタスクをこなせるようになってきました。

今回の投稿はその一例と言えます。インターネット接続なし、高性能なサーバーなし、手元の小さなモデルだけで「ゲームを作って遊ぶ」というクリエイティブな作業ができた。これは技術の進歩を象徴する小さなエピソードだと思います。

読者ができる小さな一歩

「面白そうだけど、自分には関係ない話かな」と思った人、ちょっと待ってください。

ローカルLLMは今や、技術的な知識がなくても試せるところまで来ています。たとえば「Ollama」というツールを使うと、コマンド数行で自分のパソコンにAIモデルをインストールして動かすことができます。完全無料で、インターネットに接続しなくても動きます。

まず「ローカルLLM 試し方」と検索してみることが、今日できる一番小さな一歩です。難しそうに見えて、意外と入口は広く開いているんですよ。AIは「大企業だけのもの」じゃなくなってきている、そのことをこの小さなゲームの話は静かに教えてくれていると思います。