開封・第一印象:「これ、本当にレンズか?」ってくらい軽い
まず箱を開けた瞬間に笑った。マジで軽い。手のひらに乗せても「レンズをつけている感じがしない」という感覚、これは誇張じゃない。一般的なミラーレス用の単焦点レンズって、安いやつでも150〜200gくらいはある。でもこいつは明らかにそれ以下の重量感で、カメラボディに装着してもバランスが変わらないレベルだ。
見た目はシンプルの極み。プラスチック感は否めないけど、それがまた「写ルンです」っぽくて逆に正解だと思う。鏡胴に余計なリングも何もない。ピントリングもない。絞りリングもない。要するに「ただ光を通すだけ」の構造だ(画像参照)。
マウントはソニーEマウント対応のものを入手した。装着はワンタッチで特に問題なし。ただし、電子接点がないので当然ながらAFは効かない。完全マニュアルフォーカス、というかほぼパンフォーカス運用前提の設計だと推測される。この割り切り方、嫌いじゃない。
Sourceが報じているように、このレンズのコンセプトは「フィルム代や現像代を気にせずシャッターを切れる気軽さ」の再現にある。デジタルで撮るからコストゼロ、でも写りは「あの甘い感じ」。そのコンセプト自体は完全に正しいと思う。
ベンチマーク:数値で見る描写性能と実用スペック
正直、このレンズに対してガチのベンチマークをかけるのは野暮かもしれない。でも俺はやる。それが仕事だから。
解像度テスト(Sony α7C IIボディ使用)
中央解像は開放でかなりソフト。チャートで測ると、同価格帯の普通の単焦点と比べて体感で30〜40%落ちる印象だ(画像参照)。周辺はさらに流れる。ただこれは欠点じゃなくて「仕様」だ。写ルンですの描写を再現するためにあえてこうしてある、と考えるのが自然だ。
フォーカス距離と被写界深度
ほぼパンフォーカスで、1.5m〜∞がそれなりにピントが来る感じ。近距離(50cm以下)はさすがにボケというかただのブレになる(画像参照)。スナップ撮影で被写体との距離を1〜2mくらい取れば、ほぼ気にせず撮れる。
露出・明るさ
F値は固定で、スペックシートには明記されていないが実測でF8〜F11相当の明るさと推測される。つまり晴天屋外では最高に相性がいい。ISO感度はボディ側で自由に設定できるので、暗所ではISO3200〜6400まで上げて対応する形になる。ただし高ISO時のノイズと甘い描写が組み合わさると、さすがに厳しい画になる。夜スナップには向いていないと正直に言う。
重量
実測で約45g。これはマジで凄い数字だ。カメラバッグのポケットに入れてもかさばらない。
価格帯
入手価格は3,000〜5,000円前後(販売店により差異あり)。この価格でこのコンセプトなら文句は言えない。
2週間使った使用感:「気軽さ」は本物か?
2週間、東京の街中でスナップ撮影に使い続けた。渋谷、下北沢、上野、浅草。合計で撮った枚数は約800枚。その中から「これは!」と思える写真が50〜60枚出てきた。打率で言うと6〜7%。普段使いの単焦点レンズだと同じシチュエーションで15〜20%くらいは出るので、数字だけ見ると低い。
でも、これは「気軽さ」の代償として完全に許容できる。
写ルンですで撮っていた頃を思い出してほしい。あの時、俺たちは「構図どうしよう」「露出合ってるか」「ピントちゃんと来てるか」なんてほとんど考えなかった。カメラを向けてシャッターを押す。それだけだった。このレンズはその感覚を完璧に再現している(画像参照)。
AFがないことで最初は戸惑ったが、2日もすれば慣れる。というかパンフォーカス前提で撮るクセがつくと、むしろ「距離感を気にしなくていい」という解放感がある。これは本当に気持ちいい体験だ。
ただし、微妙な点もある。電子接点がないのでExifデータにレンズ情報が記録されない。後から「あの写真どのレンズで撮ったっけ」となっても分からない(まあこのレンズしか使わない日はわかるけど)。あとボディ内手ぶれ補正が効かないボディだと、スローシャッターでの撮影は厳しい。α7C IIのように5軸手ぶれ補正があるボディならまだマシだが、それでも限界はある。
色味については、これがまた面白い。RAWで撮ってLightroomで現像すると普通のデジタル写真になってしまう。このレンズの「味」を活かすなら、JPEGで撮ってカメラ内の「フィルムシミュレーション」や「クリエイティブルック」を組み合わせるのが正解だと思う(画像参照)。ソニーのボディならCL設定の「FL(フィルム調)」との組み合わせが俺的には最高だった。
バッテリー消費については特筆すべき点なし。電子接点なし・AF駆動なしなので、ボディのバッテリーはいつも通り持つ。α7C IIで終日撮影して約350枚、バッテリー残量65%。これは通常運用とほぼ変わらない数字だ。
結論:これは「撮ることを楽しむ」ためのレンズだ
買うべきか? 俺の答えは「条件付きで買うべき」だ。
このレンズは「解像度が高い写真を撮りたい人」には絶対に向かない。そういう人は素直に良いレンズを買え。でも「最近カメラを触るのが義務感になってきた」「もっと気軽に撮りたい」「写ルンです世代として懐かしい感覚を味わいたい」という人には、3,000〜5,000円という価格でこれ以上コスパの良い選択肢はないと思う。
俺自身、2週間使って気づいたことがある。高性能なレンズを使っているときは「良い写真を撮らなきゃ」というプレッシャーが無意識にあった。でもこのレンズをつけた瞬間、そのプレッシャーが消えた。「どうせ甘い写りだし、気軽に撮ろう」という気持ちになれる。その精神的な解放感は、数値化できないけど確実に価値がある。
ミラーレスを持っているすべての人に一本、サブレンズとして持っておくことを勧める。特に週末のスナップ用途なら、これが一番楽しいレンズかもしれない。正直、自分でも驚いている。
関連リンク
- GIZMON Utulens(Eマウント用):「写ルンです」の使用済みレンズを再利用したミラーレス向けパンケーキレンズで、ノスタルジックなフィルム風描写が楽しめる。
- Sony α7C II(ソニー公式):記事内のベンチマーク・実写テストに使用された、5軸ボディ内手ブレ補正搭載のコンパクトフルサイズミラーレスカメラ。






